大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和41年(行コ)59号 判決 1967年1月27日

大阪市旭区大宮町五丁目三五番地の一

控訴人

旭税務署長

白井政男

右指定代理人検事

佐々木条吉

氏原瑞穂

法務事務官 武部文夫

大蔵事務官 藤原末三

本野昌樹

同市都島区御幸町一丁目一番地

被控訴人

古林勇

右当事者間の昭和四一年(行コ)第五九号更正決定処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所昭和四〇年(行ウ)第一二号事件)について、当裁判所は昭和四一年一二月二一日終結した口頭弁論に基き次のとおり判決する。

主文

原判決中、控訴人敗訴の部分を取消す。

被控訴人の請求を棄却する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、主文と同趣旨の判決を求め、被控訴人は、「本件控訴は棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

当事者双方の主張および証拠関係は、控訴人において、「被控訴人が原判決添付目録記載の建物(以下本件建物という)を譲渡するに要した費用のうち、訴外丸善商会こと池野雅之に対する仲介手数料は、被控訴人主張のように金三〇〇、〇〇〇円ではなくして、金二〇〇、〇〇〇円である。」と述べたほか、原判決事実摘示と同一である(ただし原判決二枚目裏八行目の「同年一一月四日」のつぎに「大阪国税局長により」を加え、同四枚目裏二行目の「金三〇〇、〇〇〇円のうち」を削る)から、これを引用する。

理由

一、当裁判所の認定した事実ならびにこれに対する法律的判断は、原判決八枚目裏三行目ないしその表九行目を左記のとおりに、同九枚目表四行目の「350,000」を「250,000」と、「538,000」を「588,000」と、同七、八行目の「金一、〇八八、〇〇〇円」を「金一、一三八、〇〇〇円」とそれぞれ訂正するほか、原判決五枚目裏五行目ないし九枚目表八行目に記載されているところと同一であるから、これを引用する。

「1、控訴人は、被控訴人において本件建物を他に譲渡するにつき、仲介人である訴外丸善商会こと池野雅之に仲介手数料として金二〇〇、〇〇〇円を支払つたと主張するが、被控訴人はその金額を否認し、金三〇〇、〇〇〇円であると抗争するので検討を加える。

成立に争いのない乙第三号証および原審証人五味功の証言を綜合すると、被控訴人は右譲渡に際して仲介人である池野雅之に金二〇〇、〇〇〇円の仲介手数料債務を負担し、昭和三七年一二月一日右金員を同人に支払つたことが認められ、この認定を覆し被控訴人主張の金額であることを認めるに足りるなんらの証拠も存しない。

2、被控訴人が右譲渡に際し雑費として金五〇、〇〇〇円を支出したことは当事者間に争いがない。

3、そうすると、本件において、右認定の仲介手数料と雑費との合計金二五〇、〇〇〇円が譲渡に要した費用というべきである。」

二、以上のとおりであるから、控訴人のなした本件更正決定には、被控訴人主張のような違法はないから、これを取消すべき筋合ではなく、被控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきであり、原判決中、本件更正決定の一部取消をした部分は失当で、本件控訴はその理由があるから、民事訴訟法第三八六条により、原判決中右部分を取消して、この部分についての被控訴人の請求を棄却することとする。よつて訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第九六条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 三谷武司 裁判官 西内辰樹 裁判官 砂山一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例